取り返したい気持ちが破産を招く理由

あなたはトレードをしていて損失が出てしまった時に、イライラしたり、悔しい気持ちになったりしていませんか？
その後,、同じ額の利益が出てホッとしたり取り戻した！という気持ちになっていませんか？

もしそのような感情があるのであれば、無意識のうちに破産に向かっているかもしれません。

結論から言ってしまいますが、損失になった時にイライラしたり、取り戻せて良かったという感情が強くなると損失を出した時に、

「損失を取り返したい！」という気持ちになっていきます。
そしてその取り返したい！と言う気持ちが結果的にあなたの破産（退場）を招きます。

なぜ取り返したいと思ってはいけないのか？

ではなぜ取り返したいと思ってはいけないのでしょう？

取り返したいという感情は、損失に対して過剰に反応しすぎている状態です。

損失に対して過剰に反応しすぎると自分の考え方にバイアスがかかってしまい、その後の環境認識の判断に影響を与えてしまうため、ルール通りのエントリーができなくなってしまうのです

(ここでいうバイアスは思い込みの意味合い)

ルール通りのエントリーができないということは優位性のあるトレードルールでエントリーできていないということなのでそのトレードに優位性はありません。

優位性がないのでまた損失になる可能性が高いわけです。

するとどうなるでしょう？

さらに取り返したい気持ちが高まり、次はロット数を上げて損失を少しでも取り返そうとします。

すると、また優位性がないため損失になる可能性が高い。

更なる損失により最初のロット数ではトレードできなくなっているのでまたロット数を増やす、の繰り返しで資金管理が崩壊します。

資金管理が崩壊してしまえば、結果的に破産し退場することになります。

損失に過剰に反応しないためには？

先ほど、取り返したという感情は損失に過剰に反応している状態と言いました。

では損失に過剰に反応しないためにはどうすればいいのでしょうか？

それはズバリ

トレードから損失は避ける事ができない

ということを心の底から理解することです。

損失は避けることができない

トレードをしていると一時的な損失からは避ける事は出来ません。
たとえどれだけエントリータイミングがバッチリでも、シグナルがバッチリでも100%勝てる手法は存在しません。
どれほど完璧なエントリーをしても損失が出る事もあります。
相場になさまざまな変動要因があり、市場に参加する人々はそれぞれ色々な事情や、感情や、方法で参加しています。
そして市場に参加する人の中には我々の様なトレーダー以外の人もいます。
貿易関係の企業では輸出、輸入の際に通貨の交換が行われていますし、
海外旅行で通貨を両替する事もトレーディングです。

ですが、海外旅行で通貨を両替する人で「出来るだけお得に交換したい」と考えている人はいると思いますが、チャートを分析したり「移動平均線が〜」とかを考えて交換する人は少ないのでトレーダーと同じように両替しているわけではありません。

つまり多くの人々は全く違う見方をしているという事です。

なので自分が買いだと思ってエントリーしても売りの需要が高まれば大きな売り圧力となり価格は下がります。そうなれば自分は損失が出ていますがその反対には同じだけの利益が出た人がいます。
その為FXは勝つか負けるかのゼロサムゲームと言われていますが、その裏側には買い側の視点で見ている人と、売り側の視点で見ている人と、どちらとも見ていない人が入り組んで存在しており、その変動要因を知る事は不可能です。
なので自分が考えている方向に値が動いても、逆に値が動いても、なぜその値動きになったのかは誰にもわかりません。

誰にもわからないものを100%当てる事は不可能なので、必ず損失が出るときは出ます。
誰がどう見てもここではこう動く！というタイミングでさえ、要人が一言発するだけで真逆に行くのが為替相場です。
為替相場では何事も起こり得るのでどんな時も損失になる可能性があるという事を覚えておきましょう。

損失は避けることができない

これは当たり前の事だと思われがちですが、本当に理解できている方は少ないと思います。

これは一種の悟りのようなものであると考えているので文章でうまく説明できないのですが、

損失をマイナスとして捉えていない

という事です。

意識的な感覚では、

「一つ一つのトレードにおいて勝っても、負けても、なんとも思わない。」

といった状態ですかね。

なんとも思わないのでトレードで損失が出ても、それに対して何かの感情が出るといったこともなく、何の感情もないので次のトレードに何の影響も出ません。

この考え方の参考になる書籍もありますのでこの記事の後半にリンクを張っておきます。

損失がバイアスを生む

損失が出た時にその損失に過剰に反応してしまうと自分の考えにバイアスがかかり、相場の見え方が変わる事が多くあります。

(ここでいうバイアスとは思い込みの意味)

例えば
自己資金10万円の人が
105.000で1ロットで買いエントリーをして、その後104.800まで下がり損切りしたとします。
その時の損失は
105.000-104.800=-0.2
つまり-20pipsです。

今回は1ロットでエントリーしているので
10万通貨（1lot）×-0.2=-20000
-2万円の損失です。

すると「くそっ！2万円損した！」となり
「次で2万円だけでも取り返してトントンにしよう。」という考えが出てきます。

その後一度下げた値が105.000まで戻ってきました。
「さっきの下げはダマシだったのかもしれない、相場環境も変わって無いし買いだ！」と思って最初の根拠通りにエントリーします。
エントリー自体はそれでもいいのですが、
取り返したいバイアスがかかっていると
「さっきの2万円を取り返したい」という気持ちからロット数を増やしてしまう可能性があります。
※自分のルール上で資金管理を行った上で、ダマシを確認したらロット数を増やしてエントリーするなどの明確な手法の場合は別です。

今回は1ロットから2ロットに増やしてエントリーします。
そうなると次は思っていた通り値が上がってきて105.100まで上昇した時に含み益は
105.100-105.000=+0.1（+10pips）
20万通貨（2lot）×0.1=20000
となり2万円です。

まだ損失も出ていなかった最初のトレードでは、損切りポイントが104.800だったので利確ポイントも最低でも105.200以上であったはずです。
しかしこの時に取り返したいバイアスがかかっているとトレードでは無く金額に意識が行ってしまっているので
「とりあえずさっきの2万円を取り返したから利確しておこう」となりやすいのです。
その後、利益確定してから当初の見立て通り値が上がり105.300まで上がったとしましょう。

すると「なんだ、予想通りここまで上昇したじゃないか！あのまま保有してたら+6万円だったのに！」（20万通貨（2lot）×0.3=60000）
となり次は利益を取り損ねた悔しさになります。

するとこの段階では
「損失を取り返したいという気持ち」
は達成されて無くなりました（一時的には）が、
「6万円の利益を取り損ねた悔しい気持ち」
が出てきます。

その後、先ほど105.300まで上昇した値から少し上昇した後105.200まで下がってきました。
ここで押し目買いエントリーをしますが、今回は以前取り損ねた悔しい気持ちがあるのでまた2ロットでエントリーします。
すると105.000まで下がってしまったので損切りしたとします。
この時の損失は
105.200-105.000=-0.2（-20pips）
となり
20万通貨（2lot）×-0.2=40000
-4万円の損失になります。

今回の損失は、

「取り損ねた悔しさ」つまり「取り損ねた分を取り返したい」気持ちになっている為とても腹ただしいと思います。

すると次は、一度損失を取り返した経験があるのでまたロット数を増やします。
先ほどの105.000までの下落で下げ止まりと判断して3ロットで買いエントリー。
しかしその後は再び下落し、104.800で損切り。
105.000-104.800=-0.2（-20pips）
30万通貨（3lot）×-0.2=-60000
-6万円の損失となり
この時点で自己資金の10万円全てを失い退場となります。

これはあくまでも一例ですが、FXを始めて間もない人など、当てはまる人は結構多いです。
というよりもこのような考えは人間心理によるものなので意識的に考えを変えない限りほとんどの人がこのような行動を取ってしまうという事です。

また、今回の損失はすべて20pipsに限定しているのですが、もしバイアスがかかる事無く同じロットでトレードしていたらどうなっていたかというと、
最初のトレードでは
105.000-104.800=-0.2（-20pips）
10万通貨（1lot）×-0.2=20000
10万円-2万円=8万円となり

2回目のトレードではバイアスが無いので105.300まで利を伸ばしていたでしょう。
105.300-105.000=+0.3（+30pips）
10万通貨（1lot）×0.3=30000
8万円+3万円=11万円となり

3回目のトレードでは
105.200-105.000=-0.2（-20pips）
10万通貨（1lot）×-0.2=-20000
11万円-2万円=9万円となり

最後のトレードでは

105.000-104.800=-0.2（-20pips）
10万通貨（1lot）×-0.2=20000

9万円-2万円=7万円となります。

結果的に自己資金10万円からすると-3万円の損失であり、退場まではしませんでした。

後は資金管理の話でも触れていますが2%ルールなどを活用していけば退場する可能性は更に下がります。

また損失に過剰に反応する人に多いのが、

「損失を金額で見てしまうこと」

です。

金額で見てしまうと、そのお金があればあれも買えたこれも買えたといったように損失の規模が明確になり、自分が負ったダメージを具体的に把握できるため、更に取り返したい気持ちが強まります。

「20pipsの損失」より、「2万円の損失」の方が精神的に嫌な気持ちになると思います。

これは自己資金が少ないほど強くなります。

自己資金100万円の人の2万円の損失より、自己資金10万円の人の2万円の損失のほうが精神的な負担は大きいでしょう。

なので損失も利益も金額で見てはいけないと言うことを覚えておいて下さい。

まとめ

トレードにおいて損失を取り返したい気持ちになると結果的に退場する事になります。

そうならないために、

• トレードで損失は必ず出るもの。
• 相場では何事も起こり得る。
• 損失や利益を金額で考えない。

といったことをまず理解して、自分のルールを守ってトレードしていくことが大切です。

 取り返したいという気持ちになってしまうことは誰にでもある事なので、取り返したい気持ちが出てきた時は一度落ち着いて今回の話を思い出してみてください。

それだけでも感情に任せた優位性のないトレードは防ぐ事ができるのではないでしょうか。

FXはなにより退場しない事が大切です。

感情トレードを無くして退場しないようにしていきましょう。

今回の考え方の参考書籍を紹介します。

一つ目はパンローリング社から出版されている「ゾーン」です。

トレードにおいて必要な思考が書いてありますが、少し内容が難しいためもう少し簡単な内容が良いという人は「ゾーン　最終章」の方が良いと思います。

詳しく知りたい方は是非読んでみてくださいね。

ゾーン 相場心理学入門 （ウィザードブックシリーズ） [ マーク・ダグラス ] 価格：3080円（税込、送料無料) (2020/12/6時点)

ゾーン最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最 （ウィザードブックシリーズ） [ マーク・ダグラス ] 価格：3080円（税込、送料無料) (2020/12/6時点)